深夜、ふと目が覚めた。
隣ではヒトミが高いびきで掛け布団を抱きしめている。
ハニーはちゃんと寝ているのだろうか。
ベッドの端から、そっとコタツをのぞく。
ハニーはフラットにしたソファに横たわり仰向けに寝ていた。
けれど、寝息は聞こえない。
ヒトミのいびきにかき消されているわけではない。
寝付けないのだろうか。
私はヒトミを起こさないように身を乗り出した。
ハ:「ネロ?」
月明かりの中、ハニーが囁く。
私:「うん」
ハニーが身体をこちらへ向ける。
ハ:「寝れない?」
私:「大丈夫。背中痛くない?」
ハ:「大丈夫」
ソファの上に無造作に投げ出された掌に、私は手を伸ばした。
かろうじて指先が触れる。
その手をハニーがつかまえた。
ハ:「おやすみ」
私:「おやすみ」
優しいぬくもりに包まれて、私は深い眠りに落ちた。
隣ではヒトミが高いびきで掛け布団を抱きしめている。
ハニーはちゃんと寝ているのだろうか。
ベッドの端から、そっとコタツをのぞく。
ハニーはフラットにしたソファに横たわり仰向けに寝ていた。
けれど、寝息は聞こえない。
ヒトミのいびきにかき消されているわけではない。
寝付けないのだろうか。
私はヒトミを起こさないように身を乗り出した。
ハ:「ネロ?」
月明かりの中、ハニーが囁く。
私:「うん」
ハニーが身体をこちらへ向ける。
ハ:「寝れない?」
私:「大丈夫。背中痛くない?」
ハ:「大丈夫」
ソファの上に無造作に投げ出された掌に、私は手を伸ばした。
かろうじて指先が触れる。
その手をハニーがつかまえた。
ハ:「おやすみ」
私:「おやすみ」
優しいぬくもりに包まれて、私は深い眠りに落ちた。
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昨日、またまたヒトミが泊まりに来ていた。
ヒトミが泊まりに来ると、また誰がどこで寝るか話し合いになる。
私:「この前私とヒトミがベッドだったから、今度はハニーとヒトミが使いなよ」
ハ:「いいよ。二人で寝なよ」
ヒ:「私コタツでいいよ」
私:「ヒトミは一応客だから。ハニーも疲れてるでしょ?」
ハ:「いいって」
ヒ:「私を奪い合わないで~♪」
私:「寝相の悪い二人が一緒に寝たらどうなるか見てみたいし」
ヒ:「くんずほぐれつv」
ハ:「……お前、寝袋持って来い」
ヒ:「やだーーー!!!」
ヒトミがトイレに行っている間に話し合いは続く。
私:「ベッドで寝ないと疲れ取れないよ?」
ハ:「だって、あいつとベッドってなんか変じゃない?」
そうなの?
結局私とヒトミがベッドで寝ることになった。
ヒ:「んじゃ、お風呂借りまーす」
いそいそとヒトミがバスルームに消える。
しばらくして本を読んでいたハニーが「あ!」と声を上げた。
ハ:「シャンプーとかタオルとか教えてきたら?」
私:「え? 分かるんじゃない?」
ヒトミの性格上、勝手に使うのは目に見えている。
ハ:「いや、一応教えてあげなよ」
私:「じゃあ、ハニーが教えてあげたら?」
私はPSPでゲーム中。
二人並んでコタツに入っているのだから、気付いた方が行けばいい。
ハ:「いや、ネロ行っておいでよ」
私:「なんで?」
コタツから出たくないのか?
マンガに夢中なのか?
ハ:「だってシャワーかかってるんだよ? うちが行ったら変だろう?」
どこが?
先週一緒に温泉入ったばっかりじゃない(笑)
しかし、そこまで固辞するなら仕方ない。
私はPSPをコタツに置いた。
私:「んじゃ行ってくる」
バスルームのドアを開けるとヒトミの脱いだ服が散乱しておりました。
私とヒトミより、ハニーとヒトミの方が付き合いは長い。
ヒトミの部屋で夜通し飲んだりもしていたらしい。
今更何を遠慮してやがる。
しかも、女同士じゃないか。
性格上、男同士じゃないか。
と思うのですが、ハニーの中には微妙な線引きがあるようで。
ううむ、難しい――――
ヒトミが泊まりに来ると、また誰がどこで寝るか話し合いになる。
私:「この前私とヒトミがベッドだったから、今度はハニーとヒトミが使いなよ」
ハ:「いいよ。二人で寝なよ」
ヒ:「私コタツでいいよ」
私:「ヒトミは一応客だから。ハニーも疲れてるでしょ?」
ハ:「いいって」
ヒ:「私を奪い合わないで~♪」
私:「寝相の悪い二人が一緒に寝たらどうなるか見てみたいし」
ヒ:「くんずほぐれつv」
ハ:「……お前、寝袋持って来い」
ヒ:「やだーーー!!!」
ヒトミがトイレに行っている間に話し合いは続く。
私:「ベッドで寝ないと疲れ取れないよ?」
ハ:「だって、あいつとベッドってなんか変じゃない?」
そうなの?
結局私とヒトミがベッドで寝ることになった。
ヒ:「んじゃ、お風呂借りまーす」
いそいそとヒトミがバスルームに消える。
しばらくして本を読んでいたハニーが「あ!」と声を上げた。
ハ:「シャンプーとかタオルとか教えてきたら?」
私:「え? 分かるんじゃない?」
ヒトミの性格上、勝手に使うのは目に見えている。
ハ:「いや、一応教えてあげなよ」
私:「じゃあ、ハニーが教えてあげたら?」
私はPSPでゲーム中。
二人並んでコタツに入っているのだから、気付いた方が行けばいい。
ハ:「いや、ネロ行っておいでよ」
私:「なんで?」
コタツから出たくないのか?
マンガに夢中なのか?
ハ:「だってシャワーかかってるんだよ? うちが行ったら変だろう?」
どこが?
先週一緒に温泉入ったばっかりじゃない(笑)
しかし、そこまで固辞するなら仕方ない。
私はPSPをコタツに置いた。
私:「んじゃ行ってくる」
バスルームのドアを開けるとヒトミの脱いだ服が散乱しておりました。
私とヒトミより、ハニーとヒトミの方が付き合いは長い。
ヒトミの部屋で夜通し飲んだりもしていたらしい。
今更何を遠慮してやがる。
しかも、女同士じゃないか。
性格上、男同士じゃないか。
と思うのですが、ハニーの中には微妙な線引きがあるようで。
ううむ、難しい――――
私:「ただいまー」
リビングに入った私を寝ぼけ眼のハニーが出迎える。
ハ:「おかえりー」
私:「あれ? まだ寝てたの?」
今日も派手に寝癖がついて、まるでパンク少年のようだ。
あれ?
私は小さな違和感を憶えた。
ハ:「うん……風呂入ってくる」
そのまま私の横を通り過ぎてバスルームへ消える。
その間に私は夕食の準備をする。
肉を炒めて野菜スープを作って、あ、ご飯が炊けた。
とかやっているとハニーが湯気を上げながらバスルームから出てきた。
ハ:「ご飯できた?」
私:「もう少し」
ハ:「じゃあ先に髪乾かしてくる」
私:「はーい」
ハニーの後姿を見送る。
あれれ?
膨らんだ違和感は小さな実になった。
ドライヤーの送風音が聞こえている間にテーブルにお皿を並べ、ご飯をよそう。
そうして私は扉の前でハニーを待ち構えた。
無防備に扉から出てきたハニーが一瞬のけぞる。
ハ:「うおっ。 どうした、仁王立ちして?」
私:「髪切った?」
ハ:「あぁ。うん、切ったよ」
乾かすと一目瞭然。
思わず私は目をそらした。
ハ:「なんで目そらすの? 変?」
私:「変じゃない。ご飯食べよう」
ハ:「なんでこっち見ないの。笑いこらえてる?」
私:「こらえてない! ご飯ご飯」
ハ:「やっぱりおかしいんだ……」
寂しそうにうつむく大根役者を、思わず振り返ってしまう。
私:「かっこいいよ!」
ハ:「嘘だ」
私:「かっこいいってば」
ハ:「じゃあなんで目そらした」
私:「照れただけさ」
ハ:「はい?」
私:「かっこいいから照れたっつっとんじゃ!!」
短くカットされた髪はシャープな輪郭を際立たせ、
軽く目にかかった前髪が表情を物憂げに見せる。
落ち着いた茶色が白い肌とあいまって西欧の少年ぽく、
青年よりの中性的な雰囲気がシャンプーの匂いと共に私を襲った。
髪を切っただけなのに、
ちょっと髪を切っただけなのに、
目を離せない。
でも恥ずかしくて目を合わせられない。
ハ:「そんなの知ってる」
ハニーは鼻で笑うと軽い足取りでテーブルについた。
調子にのるのが分かってるから言いたくなかったんじゃい!
食事中も、私は隣に座るハニーを見ないように頑張った。
ハ:「ねぇ、マヨネーズ取って」
私:「はい」
渡す時も正面を見たまま。
ハ:「ティッシュ取って」
私:「はい」
ハ:「やっぱり肉は美味いねー」
私:「そうだねー」
ハ:「……なんでこっちを見ない」
私:「見てるさー」(正面向いたまま)
ハ:「やっぱりブサイクだから見たくないんだ……」
ハニーの沈んだ声(大根)。
私:「そうじゃないってば!」
また騙されてハニーを振り返る私。
そこにあるのは、ハニーの勝ち誇った満面の笑顔。
ハ:「じゃあ何?」
私:「……かっ……」
ハ:「ん?」
私:「かっこいいです!!」
ハ:「んむ!」
衝動の赴くまま、
笑顔で肉を食むハニーの横っ面を拳でグリグリしたのは、
愛しい顔にふれたかっただけで、
けっしてムカついたからではありません。
リビングに入った私を寝ぼけ眼のハニーが出迎える。
ハ:「おかえりー」
私:「あれ? まだ寝てたの?」
今日も派手に寝癖がついて、まるでパンク少年のようだ。
あれ?
私は小さな違和感を憶えた。
ハ:「うん……風呂入ってくる」
そのまま私の横を通り過ぎてバスルームへ消える。
その間に私は夕食の準備をする。
肉を炒めて野菜スープを作って、あ、ご飯が炊けた。
とかやっているとハニーが湯気を上げながらバスルームから出てきた。
ハ:「ご飯できた?」
私:「もう少し」
ハ:「じゃあ先に髪乾かしてくる」
私:「はーい」
ハニーの後姿を見送る。
あれれ?
膨らんだ違和感は小さな実になった。
ドライヤーの送風音が聞こえている間にテーブルにお皿を並べ、ご飯をよそう。
そうして私は扉の前でハニーを待ち構えた。
無防備に扉から出てきたハニーが一瞬のけぞる。
ハ:「うおっ。 どうした、仁王立ちして?」
私:「髪切った?」
ハ:「あぁ。うん、切ったよ」
乾かすと一目瞭然。
思わず私は目をそらした。
ハ:「なんで目そらすの? 変?」
私:「変じゃない。ご飯食べよう」
ハ:「なんでこっち見ないの。笑いこらえてる?」
私:「こらえてない! ご飯ご飯」
ハ:「やっぱりおかしいんだ……」
寂しそうにうつむく大根役者を、思わず振り返ってしまう。
私:「かっこいいよ!」
ハ:「嘘だ」
私:「かっこいいってば」
ハ:「じゃあなんで目そらした」
私:「照れただけさ」
ハ:「はい?」
私:「かっこいいから照れたっつっとんじゃ!!」
短くカットされた髪はシャープな輪郭を際立たせ、
軽く目にかかった前髪が表情を物憂げに見せる。
落ち着いた茶色が白い肌とあいまって西欧の少年ぽく、
青年よりの中性的な雰囲気がシャンプーの匂いと共に私を襲った。
髪を切っただけなのに、
ちょっと髪を切っただけなのに、
目を離せない。
でも恥ずかしくて目を合わせられない。
ハ:「そんなの知ってる」
ハニーは鼻で笑うと軽い足取りでテーブルについた。
調子にのるのが分かってるから言いたくなかったんじゃい!
食事中も、私は隣に座るハニーを見ないように頑張った。
ハ:「ねぇ、マヨネーズ取って」
私:「はい」
渡す時も正面を見たまま。
ハ:「ティッシュ取って」
私:「はい」
ハ:「やっぱり肉は美味いねー」
私:「そうだねー」
ハ:「……なんでこっちを見ない」
私:「見てるさー」(正面向いたまま)
ハ:「やっぱりブサイクだから見たくないんだ……」
ハニーの沈んだ声(大根)。
私:「そうじゃないってば!」
また騙されてハニーを振り返る私。
そこにあるのは、ハニーの勝ち誇った満面の笑顔。
ハ:「じゃあ何?」
私:「……かっ……」
ハ:「ん?」
私:「かっこいいです!!」
ハ:「んむ!」
衝動の赴くまま、
笑顔で肉を食むハニーの横っ面を拳でグリグリしたのは、
愛しい顔にふれたかっただけで、
けっしてムカついたからではありません。
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