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ジョグナ・アガルタ

婚約者(♂)と別れ、元カノ(♀)と復縁しました。
台湾、台湾、行きタイワーン♪
皆様、ゴールデンウィークの計画はお進みですか?

うちは、台湾さ行きます。


本当はハワイに行きたかったとですよ。
海見ながらぼけーっとしたかったとです。
大自然に癒されたかったとです。
でもハニーがハワイは嫌だと。

んじゃお金も無いし、四国一周うどんの旅でも行くか?
ほぼこれで決まりかけてたとです。

でもね、私ね、どうしても海外に行きたかったのよ。

携帯電話に縛られない、

知ってる人は誰もいない、

自分解放、

ハニー独り占め!

みたいなね。


んで、決めてしまいました、台湾旅行。
これまで何度か海外へは行ったけど、
自分でチケット買ってホテル予約してってのは初めてで。
台湾は二回目だし、人も親切だから大丈夫とは思うけど、

ちょっぴりドキドキ……

相変わらずハニーは何も調べてくれないから1人でプラン練ってます。
そのくせ、

ハ:「旅のしおりできた?」

って……

修学旅行じゃないっての!
まぁー、言われなくても毎回作ってるんだけどさ。

私:「ハニーは台湾でしたい事とか、行きたいトコとかある?」

ハ:「美味しいものが食べたい」

私:「……他には?」

ハ:「う~ん……ネロの好きにしていいよ」

台湾は美味しいものだらけだから問題無いな。

そうだ、
せっかく台湾行くんだし変身写真が撮りたいな。

ハニーと二人で。

結婚写真みたいな。

プロにメイクしてもらって、写真も加工してもらって、アルバム作って。

いやーん、素敵☆


ハ:「やだ。めんどくさい」


おま、好きにしていいって、どの口が……orz
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カメラ乙女・ネロ
私はカメラを手にすると、ハニーを撮らずにはいられない。

笑顔でポーズを決めるハニーもいいけれど、

本当に撮りたいのは、

素のハニー。



煙草を咥えてジャンプ読んでる姿とか、

運転してる横顔とか、

あどけない寝顔とか、

魚の大群に夢中な表情とか、

ビールが注がれて汗をかいたグラスを握る手とか、

振り向いた無防備な視線とか、

風呂上りの気だるげな様子とか、

そういったものを撮りたい。


なのにハニーときたら、


ハ:「そんなに撮ってばかりで楽しい?」


と冷めた目で私を見るのです。

私:「楽しい!」

ハ:「ふーん」

あからさまに不機嫌なご様子。
もうね、カメラ引っ込めるしかないじゃないっすか。

私:「写真撮られるの嫌い?」

ハ:「別に。でも……」

私:「うっとうしい?」

ハ:「ちょっとね。一緒に撮るならいいけどさ」

そういえば、ハニーは旅先で一緒に写真を撮りたがる。
もしくは単品の私を撮りたがる。

なーんだ、一緒じゃない。

でも、ハニーは視線を欲しがるんだな。

私、写真自体苦手なのにな(汗;)
そりゃ、出会いだけど……
今週末開かれるレディースオンリーイベントに誘われた。

「恋人さんと行かないんですか?」

残念だけど、行けないです。
ハニー、イベント系嫌いですから。


んで私はというと、イベント系好きなんですよねー。
タケルと付き合う前はたまに行ってたさー。
ドラッグクイーンが来たり、出し物でSMショーとかストリップとかあったり。
周りも女性ばかりだから気兼ねなく見れるわけですよ。
いやー、プロだね。
見始めは冷やかし半分だったけど、魅せられました。
周囲の嘲笑もすぐに止んで皆引き込まれてました。
貴重な体験でしたわ。

おぉっと、話がそれた。
別にショーを見にイベントに行ったわけじゃなく。
変な言い方ですが、気休め、が近いかも。
同じセクシャリティの人がこんなにいるんだ。
しかも普通に恋愛話ができる。
自分を解放できる感じがとても心地いい。


ハニーはというと、イベント事に全く興味が無く。
誘ってみても

「何で知らない人と話さなきゃいけないの?」

な人。
まぁね、一緒に行っても他の女の子と話してるハニーを見て
ヤキモチ焼いてしまうのは目に見えてるんだけどさ。
んで、他の人と話してる私を見てハニーが不機嫌になるのも目に見えてるんだけどさ。
んじゃ、私一人で行ってくるよ。

ハ:「何で行きたいの? 何しに行くの? なんで?なんで?なんで?」(言ったまま)


「行くな」ってはっきり言えや。


ハニーはクールに見えて、かなりヤキモチ焼きの根に持つタイプ。
そんなハニーを振り切ってまでイベントに行く気は起きない。
行っても後ろめたさで楽しめないだろう。

ハニーがイベント嫌いで良かったかも。
イベント大好き、知り合うの大好き、だったらヤキモチで胃潰瘍になっちゃうわ。





あー、でも行きたいよう!!!
今を生きるアナタ、未来を見るワタシ
夕食後、テレビを見ながらハニーが呟いた。

ハ:「今日会社休もうかなぁ」

私:「どうした? 体調悪い?」

ハ:「なんか、行きたくないなーと思って」

言いながら私の膝に抱きつく。
ハニーの頭を撫でながら時計を見ると、
もう準備しなくてはいけないタイムリミットを過ぎていた。

誰にだって仕事を休みたい時はある。

しかし、ハニーは派遣社員。

『派遣切り』

の文字が瞬時に頭に浮かんだ。

私:「そっかー、行きたくないかー」

ハ:「うん」

ハニーはうつ伏せのまま起き上がる気配が無い。

私:「仕事、きつい?」

ハ:「ううん、暇」

私:「まぁ、なんとなく行きたくない時ってあるよね」

ハ:「うん」

ハニーが何て言って欲しいのかは解る。

『それじゃあ休んで、一緒に寝ようか?』

でも、言えない私がいた。


業界自体仕事が減ってパート従業員が解雇された話を聞いたばかりだ。
たとえ有給休暇が残っていようと休みがちな従業員から切られるのはよくある話。

仮にハニーが仕事を辞めたとして、私の給料だけでもなんとか生活はできる。
けれどずっとハニーを養っていける自信は無い。

旅行にも行きたい。

いずれは家だって建てたい。

なにより、ずっと一緒に生きていきたい。


私はハニーの髪を優しく撫でながら言った。

私:「あのね、ハニー。
   私はこれからもずっとハニーと一緒に暮らしていたいんだよ」

ハ:「暮らしていくよ?」

私:「うん、ありがとう。
   でもね、今日休んで一緒にいて、もし会社を首になったらどうする?」

ハ:「……大丈夫だよ、有休あるし」

私:「そうだけどさ。派遣切りってあるでしょう?
   そりゃ私だってハニーに休んでもらって一緒にいたいよ?
   でもこの先の未来もずっと一緒にいたいから、ね」

ハ:「今も未来も一緒にいる!」

そう言ってハニーは私の太ももにしがみついた。
私はハニーの頭に手を置くと、ばれないように小さく一つ、ため息をついた。

私:「じゃあね、
   今日休んで絶対後悔しない?
   『やっぱり行けば良かった』って思わない?」

ハ:「……………………思うかも」

ハニーはおもむろに立ち上がると出かける準備を始めた。
その顔はとても寂しそうで、私は

「やっぱり休んで! 一緒にいて!!」

と叫びそうになるのを必死にこらえるので精一杯だった。




次の日の朝、ハニーはすっきりした顔で帰ってきた。

ハ:「やっぱり行って良かったよ。休んでたら絶対気になってた」

私:「それは良かった」

ハニーの脱いだダウンをハンガーにかけて、私は振り返った。

私:「昨日、私が「休んで」って言わなかったから寂しかった?」

ハ:「うん」

ハニーは俯き加減に頷いた。

私:「ごめんね」

なぜか泣き出しそうになった。

ハ:「いいよ」

ハニーはいつものすまし顔でバスルームに入っていった。
可愛い女になりきれない自分が悲しかった。
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