えぇっと、すっかり更新滞っておりますが、これからも滞ります。
すっかり皆様もお忘れであろう、
『ハニー、熱っぽいの』事件・完結編。
↓
嫌な予感がしていた。
会社帰りにデパ地下に寄って大根とバナナを買って、帰宅。
静かにドアを開けると、真っ暗になった室内は生ぬるかった。
ハ:「あー……おかえり」
ベッドに横たわっていたハニーが布団の下から顔を出す。
その声は擦れていて熱っぽい。
私:「ただいま。熱出た?」
ハ:「うん。測ったら38度あったから風邪薬飲んで今まで寝てた。
ビールは飲んでないよ」
速攻で予防線を張る。
飲んでたらしばき上げるけどね。
私は苦笑しつつ枕元に膝を着いた。両手で包んだ頬は熱い。
私:「冷えピタ張ろうか。何か食べられそう?」
ハ:「う~……いらない」
ハニーはおかゆが嫌い。生姜が苦手。
うどんは近所の細麺のお店でしか食べない。
私:「バナナ買ってきたけど、食べられない?
ハ:「……ちょっとだけ食べてみる」
ハニーに大好物の剥いたバナナを手渡し、
食べている間に冷えピタとアクエリアスを用意する。
ハ:「ネロは夕飯どうするの?」
私:「ピザでも取るわ」
1人分だけ作ることほど面倒なことはない。
ピザは冗談にしてもお茶漬けか何かで済ましてしまおう。
輪切りにした大根を昆布だしで煮ながら本を読んでいると、
背後から声が掛かった。
ハ:「テレビ、見てもいいよ?」
私:「ん~? 別に見たいのないけど。見たいの?」
リモコンを渡すと、嬉々としてスイッチを入れるハニー。
帰宅直後より格段に声に張りがある。
順調に回復に向かっているらしい。
ハ:「ピザ、頼まないの?」
私:「食べたい?」
ハ:「いや、ネロが何も食べないから」
私:「なんか面倒でさ」
ハ:「何か食べなよ」
私:「そうだねぇ、じゃあピザどれが食べたい?」
ハ:「ネロの好きなの頼みなよ」
私:「どうせ半分はハニーの明日のご飯になるんだから」
ハ:「えーと、じゃあねぇ、」
40分後、
私の隣でピザを頬張るハニーの姿があった。
ハ:「あー、喉渇いた」
私:「お茶入れてこようか?」
ハ:「……ビールがいいな」
私:「はあああああ!?」
ハ:「だって、もう、元気なったよ!」
私:「今日は我慢しなさい!」
ハ:「もう熱も下がったってば!」
私:「何度よ」
ハ:「何度だったら飲んでいい?」
私:「はあ?」
ハ:「何度以下だったらビール飲んでいい?」
このお子ちゃまは……
私は痛む頭をかかえて、呟いた。
私:「37.3度」
ハ:「37.7!」
私:「ダメ。37.3」
ハ:「37.5!」
私:「……37.4」
ハ:「37.5!」
私:「じゃあ飲まなくていい」
ハ:「37.4ね!!」
結果、37.62°
私:「はい、残念。はい、冷えピタ」
ハニーがふてくされた顔で前髪をかき上げる。
しかしこの程度で諦めるハニーではない。
その後、30分おきに熱を測り続けた結果、
ハ:「37.26!」
日付が変わろうかという時間になって、ようやくハニーはビールにありつけた。
執念って恐ろしい。
私:「飲んだら寝るのよ」
ハ:「うーい」
洗い物を済ませ、布団を整えてからハニーの横へ入る。
私:「明日体調悪かったら無理しないで休むのよ」
ハ:「はーい」
翌朝、体調が悪かったのは私の方だった。
夕食を作るのが面倒だったのは、体がだるかったから。
頭が痛んだのは、発熱していたから。
嫌な予感は、悪寒に変わった。
室内感染。
感染源は今日も元気にビールを飲んでいる。
すっかり皆様もお忘れであろう、
『ハニー、熱っぽいの』事件・完結編。
↓
嫌な予感がしていた。
会社帰りにデパ地下に寄って大根とバナナを買って、帰宅。
静かにドアを開けると、真っ暗になった室内は生ぬるかった。
ハ:「あー……おかえり」
ベッドに横たわっていたハニーが布団の下から顔を出す。
その声は擦れていて熱っぽい。
私:「ただいま。熱出た?」
ハ:「うん。測ったら38度あったから風邪薬飲んで今まで寝てた。
ビールは飲んでないよ」
速攻で予防線を張る。
飲んでたらしばき上げるけどね。
私は苦笑しつつ枕元に膝を着いた。両手で包んだ頬は熱い。
私:「冷えピタ張ろうか。何か食べられそう?」
ハ:「う~……いらない」
ハニーはおかゆが嫌い。生姜が苦手。
うどんは近所の細麺のお店でしか食べない。
私:「バナナ買ってきたけど、食べられない?
ハ:「……ちょっとだけ食べてみる」
ハニーに大好物の剥いたバナナを手渡し、
食べている間に冷えピタとアクエリアスを用意する。
ハ:「ネロは夕飯どうするの?」
私:「ピザでも取るわ」
1人分だけ作ることほど面倒なことはない。
ピザは冗談にしてもお茶漬けか何かで済ましてしまおう。
輪切りにした大根を昆布だしで煮ながら本を読んでいると、
背後から声が掛かった。
ハ:「テレビ、見てもいいよ?」
私:「ん~? 別に見たいのないけど。見たいの?」
リモコンを渡すと、嬉々としてスイッチを入れるハニー。
帰宅直後より格段に声に張りがある。
順調に回復に向かっているらしい。
ハ:「ピザ、頼まないの?」
私:「食べたい?」
ハ:「いや、ネロが何も食べないから」
私:「なんか面倒でさ」
ハ:「何か食べなよ」
私:「そうだねぇ、じゃあピザどれが食べたい?」
ハ:「ネロの好きなの頼みなよ」
私:「どうせ半分はハニーの明日のご飯になるんだから」
ハ:「えーと、じゃあねぇ、」
40分後、
私の隣でピザを頬張るハニーの姿があった。
ハ:「あー、喉渇いた」
私:「お茶入れてこようか?」
ハ:「……ビールがいいな」
私:「はあああああ!?」
ハ:「だって、もう、元気なったよ!」
私:「今日は我慢しなさい!」
ハ:「もう熱も下がったってば!」
私:「何度よ」
ハ:「何度だったら飲んでいい?」
私:「はあ?」
ハ:「何度以下だったらビール飲んでいい?」
このお子ちゃまは……
私は痛む頭をかかえて、呟いた。
私:「37.3度」
ハ:「37.7!」
私:「ダメ。37.3」
ハ:「37.5!」
私:「……37.4」
ハ:「37.5!」
私:「じゃあ飲まなくていい」
ハ:「37.4ね!!」
結果、37.62°
私:「はい、残念。はい、冷えピタ」
ハニーがふてくされた顔で前髪をかき上げる。
しかしこの程度で諦めるハニーではない。
その後、30分おきに熱を測り続けた結果、
ハ:「37.26!」
日付が変わろうかという時間になって、ようやくハニーはビールにありつけた。
執念って恐ろしい。
私:「飲んだら寝るのよ」
ハ:「うーい」
洗い物を済ませ、布団を整えてからハニーの横へ入る。
私:「明日体調悪かったら無理しないで休むのよ」
ハ:「はーい」
翌朝、体調が悪かったのは私の方だった。
夕食を作るのが面倒だったのは、体がだるかったから。
頭が痛んだのは、発熱していたから。
嫌な予感は、悪寒に変わった。
室内感染。
感染源は今日も元気にビールを飲んでいる。
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