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ジョグナ・アガルタ

婚約者(♂)と別れ、元カノ(♀)と復縁しました。
恐れていたもの
マーケットでハニーと買い物をしていると、携帯が震えた。

『着信:○○(元カレ)』

思わず立ち尽くした。

出るべきか、

無視するか。

無意識にハニーの姿を探す。
ハニーは少し離れたドリンクコーナーでビールの銘柄を吟味している。

言うべきか、

黙っておくべきか。

迷っている間に携帯は留守電に切り替わり、切れた。



ハ:「ねぇ、何かあった?」

買ってきたものを冷蔵庫に入れベッドに腰を下ろすと同時に、ハニーが聞いてきた。
私は少し逡巡して、正直に話すことにした。

私:「さっきスーパーで元カレから電話があった」

ハ:「ふうん」

ハニーはあまり驚いた風ではなかった。
ゴールデンウィークに元カレが研修先から里帰りする事を話していたから
『ついに来たか』くらいなのかもしれない。

私:「でも出てない。迷ってたら切れちゃった。気付いてた?」

ハ:「急に離れていったからね」

ハニーは笑いながら隣に座ってきた。
私は立ち止まっただけで、離れて行ったのはあなたですけど?
心の中で突っ込む。

私:「言おうかと思ったけど、元カレから連絡来ても教えて欲しくないって言ってたから」

ハ:「うん」

私:「ちょっと、後で元カレに連絡してみようと思うんだけど・・・」

ハ:「ふぅん・・・・・・」

私:「絶対また連絡くると思うから。
   先にちゃんと断って、ゴールデンウィークをスッキリ楽しみたい」

おそらく、元カレは連絡が取れるまで食い下がるだろう。
ヘタしたら会社の最寄り駅で待っているかもしれない。
話すことはしたくない。
できればメールで終わらせたい。

ハ:「うん」

ハニーは複雑そうな顔で頷いた。

私:「連絡する時、言った方がいい?」

ハ:「・・・・・・いや、いいよ」

私:「ちょっとやり取りするかもしれないど、いい?」

ハ:「いいよ」

私:「もしかして、貸したもの返してもらったりで会うかもしれないけど浮気とか思わないでね?」

ハ:「それは言って」

私:「心配しなくて大丈夫よ? それともついてきてくれるの?」

ハ:「ついていってもいいよ」

何気ない振りをしながら、声は硬い。
元カレに嫉妬しているのが解る。

ハ:「ずーっと、やり取りが続くわけじゃないんだろ? 今だけだろ?」

私:「もちろん」

でも、私は知っている。
一度のやり取りは少ないけど、これからも連絡があるだろう事を。

私:「ハニーにとっての昔カノみたいなものだから」

ハニーは無言のまま、聞こえていない振りをしていた。


元カレとは嫌いになって別れたわけじゃない。
無理やり別れさせられたわけでもない。
私から一方的に別れを告げた。
もちろん愛情は無いが、情はある。
不安定な元カレをさらに追い詰めるようなことはできない。







でも、


ハニーの心に棲む昔カノへの対抗心が無いとは言い切れない。
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