些細なコトで笑顔が崩れた。
掃除をしてくれたハニーが風呂に入っている間に錦糸たまごを作っていた。
フライパンで溶いた卵を薄く焼き、まな板に重ねていく。
さて、切ろうかとした時にハニーが上がってきた。
私:「ねぇ、このまま切ったら長いよね」
ハ:「この前は半分に切って重ねてから切ったよ」
私:「わかった。そうする」
ハ:「本当の切り方はくるくるっと巻いて切るんだって」
私:「じゃあそうやって切ろうか?」
ハ:「別にどうでもいいよ」
私:「わかった」
ハ:「この前は斜めに切ったよ」
いつもなら「ふーん」で適当に切るのだが、今の私は普通じゃない。
考えることが嫌で、切るのがわずらわしくなった。
私:「じゃあハニー切って」
ハ:「えー。適当でいいってば」
顔をしかめ、力いっぱい嫌そうな表情をされた。
『めんどくさい』
口に出さずともそう言っているのが解る。
『そうめんに錦糸たまご』はハニーの定番で、私は別に無くてもかまわない。
そうめんもハニーのリクエスト。
なのにそこまで嫌な顔しなくてもいいじゃない。
私:「冗談じゃん」
私は顔を伏せると薄焼き玉子を切った。
胸の中は苛立ちで気持ち悪かった。
普段の私ならこんなことくらいで怒ったりはしない。
不安定な自分を解ってるから、努めて苛立ちを押し殺した。
しかし、殺しきれてなかったらしい。
ハ:「なんか怒ってる?」
私:「怒ってないよ」
咄嗟に口から出た。
ハニーはどこか腑に落ちない顔で、でも追求はしてこなかった。
なんとなく近くにいづらくて、
なんとなく距離を取っていた。
ハニーもくっついてはこなかった。
夜、換気扇の下で煙草を吸い終わったハニーと入れ替わりに台所に入った。
ハ:「みそ汁作るの?」
私:「うん」
ハ:「きついなら作らなくてもいいよ」
私:「大丈夫」
だし汁を沸かしながらエノキを切って軽く洗う。
ハ:「まだ寝ない?」
私:「うん。先に寝てていいよ」
ハ:「・・・・・・分かった」
今週ハニーは日勤で、朝5時に起きるため夜は10時過ぎには寝てしまう。
私もハニーの出勤に合わせて一度起きるから大抵一緒にベッドに入っていた。
その度にハニーは「テレビ見てていいよ」「自分に合わせなくていいよ」と言っていた。
だから特に気にはしていなかった。
それより朝は和食派のハニーにみそ汁を出してあげたかった。
豆腐も入れて、後は味噌を溶くだけという状態にして寝ることに。
ベッドに入るとハニーはもう寝ていた。
なかなか寝付けずに、私はその横でDSで数独をしていた。
ハニーに光が当たらないように変な体勢でしていたせいだろう。
手から滑り落ちたDSがベッドの枠にあたり、派手な音を立てて床に落ちた。
ガシャン
背後で動く気配。
やばい。
私:「ごめんね、起こした?」
振り返る間もなく、無言で抱きついてくるハニー。
足を絡め、体を縛り付けるように回された腕は力強い。
身動き一つ取れない。
寝ぼけているのだろうか。
再び起こさないように息を潜める。
DSの液晶画面の明かりが天井を照らしている。
とりあえず電源を落とさないとな。
少しすると、耳元で静かな寝息が聞こえてきた。
よし、チャーンス。
そっとハニーの腕をずらし、DSへ手を伸ばす。
途端にハニーがまた強く抱きついてきた。
しがみつくというか、
すがりつくというか。
平気そうなフリしてただけで、実は一人で寝るのは寂しかったんだろうか。
それとも私がずっと機嫌が悪かったから?
ごめんね、ハニー。
私は何とか背中に回した手で、ハニーを撫でながら眠りについた。
掃除をしてくれたハニーが風呂に入っている間に錦糸たまごを作っていた。
フライパンで溶いた卵を薄く焼き、まな板に重ねていく。
さて、切ろうかとした時にハニーが上がってきた。
私:「ねぇ、このまま切ったら長いよね」
ハ:「この前は半分に切って重ねてから切ったよ」
私:「わかった。そうする」
ハ:「本当の切り方はくるくるっと巻いて切るんだって」
私:「じゃあそうやって切ろうか?」
ハ:「別にどうでもいいよ」
私:「わかった」
ハ:「この前は斜めに切ったよ」
いつもなら「ふーん」で適当に切るのだが、今の私は普通じゃない。
考えることが嫌で、切るのがわずらわしくなった。
私:「じゃあハニー切って」
ハ:「えー。適当でいいってば」
顔をしかめ、力いっぱい嫌そうな表情をされた。
『めんどくさい』
口に出さずともそう言っているのが解る。
『そうめんに錦糸たまご』はハニーの定番で、私は別に無くてもかまわない。
そうめんもハニーのリクエスト。
なのにそこまで嫌な顔しなくてもいいじゃない。
私:「冗談じゃん」
私は顔を伏せると薄焼き玉子を切った。
胸の中は苛立ちで気持ち悪かった。
普段の私ならこんなことくらいで怒ったりはしない。
不安定な自分を解ってるから、努めて苛立ちを押し殺した。
しかし、殺しきれてなかったらしい。
ハ:「なんか怒ってる?」
私:「怒ってないよ」
咄嗟に口から出た。
ハニーはどこか腑に落ちない顔で、でも追求はしてこなかった。
なんとなく近くにいづらくて、
なんとなく距離を取っていた。
ハニーもくっついてはこなかった。
夜、換気扇の下で煙草を吸い終わったハニーと入れ替わりに台所に入った。
ハ:「みそ汁作るの?」
私:「うん」
ハ:「きついなら作らなくてもいいよ」
私:「大丈夫」
だし汁を沸かしながらエノキを切って軽く洗う。
ハ:「まだ寝ない?」
私:「うん。先に寝てていいよ」
ハ:「・・・・・・分かった」
今週ハニーは日勤で、朝5時に起きるため夜は10時過ぎには寝てしまう。
私もハニーの出勤に合わせて一度起きるから大抵一緒にベッドに入っていた。
その度にハニーは「テレビ見てていいよ」「自分に合わせなくていいよ」と言っていた。
だから特に気にはしていなかった。
それより朝は和食派のハニーにみそ汁を出してあげたかった。
豆腐も入れて、後は味噌を溶くだけという状態にして寝ることに。
ベッドに入るとハニーはもう寝ていた。
なかなか寝付けずに、私はその横でDSで数独をしていた。
ハニーに光が当たらないように変な体勢でしていたせいだろう。
手から滑り落ちたDSがベッドの枠にあたり、派手な音を立てて床に落ちた。
ガシャン
背後で動く気配。
やばい。
私:「ごめんね、起こした?」
振り返る間もなく、無言で抱きついてくるハニー。
足を絡め、体を縛り付けるように回された腕は力強い。
身動き一つ取れない。
寝ぼけているのだろうか。
再び起こさないように息を潜める。
DSの液晶画面の明かりが天井を照らしている。
とりあえず電源を落とさないとな。
少しすると、耳元で静かな寝息が聞こえてきた。
よし、チャーンス。
そっとハニーの腕をずらし、DSへ手を伸ばす。
途端にハニーがまた強く抱きついてきた。
しがみつくというか、
すがりつくというか。
平気そうなフリしてただけで、実は一人で寝るのは寂しかったんだろうか。
それとも私がずっと機嫌が悪かったから?
ごめんね、ハニー。
私は何とか背中に回した手で、ハニーを撫でながら眠りについた。
≪この記事へのコメント≫
このコメントは管理者の承認待ちです
2008/05/24(土) 09:44:19 | | #[ 編集]
初めまして、天気と申します。
いつもネロさんの大人な態度・対応に感心しながら拝見させていただいてます。
私は不安定な時、相手を思いやってあげられなかったですから・・・。
ネロさんは本当にハニーさんの事が大好きなんですね^^
ハニーさんもネロさんの事が大好きなんだなって、読んでて伝わってきます。
それはきっとネロさんがしっかりとそう感じているからなんでしょうね。
これからも色々なお話聞かせて下さいね(^^)
いつもネロさんの大人な態度・対応に感心しながら拝見させていただいてます。
私は不安定な時、相手を思いやってあげられなかったですから・・・。
ネロさんは本当にハニーさんの事が大好きなんですね^^
ハニーさんもネロさんの事が大好きなんだなって、読んでて伝わってきます。
それはきっとネロさんがしっかりとそう感じているからなんでしょうね。
これからも色々なお話聞かせて下さいね(^^)
2008/05/24(土) 10:08:16 | URL | 天気 #-[ 編集]
天気さん、はじめまして。
いやいやいや、全然大人になれてないですよ!記事読み直して反省しきりです。
自分の事でいっぱいいっぱいになると難しいですよね。
反対に「どうして解ってくれないの!?」って思っちゃったり。
私も経験ありますから、もう同じ後悔はしないように頑張ってます!
はい、大好きです♪
ハニーの気持ちも私の思い込みじゃなきゃいいんですけどね(汗;)
こちらこそ今後ともよろしくお願いします(^^
いやいやいや、全然大人になれてないですよ!記事読み直して反省しきりです。
自分の事でいっぱいいっぱいになると難しいですよね。
反対に「どうして解ってくれないの!?」って思っちゃったり。
私も経験ありますから、もう同じ後悔はしないように頑張ってます!
はい、大好きです♪
ハニーの気持ちも私の思い込みじゃなきゃいいんですけどね(汗;)
こちらこそ今後ともよろしくお願いします(^^
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