ハ:「ガソリン入れに行くけど一緒に行く?」
私:「行く! ラーメン食べたい!」
この日ハニーは家族と一日お出かけしていて私は一人でお留守番だった。
帰り道にかけてくれた誘いに私は速攻でのった。
駐車場に横付けしたハニーの車に乗り込む。
ハ:「どこのラーメン屋?」
私:「○○!」
ハ:「○○って、片道2時間だぞ!?」
私:「だめ? 疲れた?」
ハ:「疲れたけど、いいよ」
しかしやはり疲れはたまっているようで、給油して10分も走らないうちに
ハ:「やっぱり○○は今度でいい?」
私:「いいよ。じゃあ帰ろうか」
ドライブしたい気分だったけど仕方ない。
明日は仕事だし、はじめから駄目元で話したのであまりがっかりはしなかった。
ハ:「ごめんね。じゃあどこ行く? ××は?」
Uターンしたハニーが言ったのは地元のラーメン屋。
私:「いいよ。帰ろう」
ハ:「なんで? お腹空いてるんだろ?」
私:「大丈夫だよ」
私は笑顔で否定した。
ハ:「ラーメン食べるって行ってたじゃん。何か食えよ」
なんだか雲行きが怪しくなってきた。
ハニーの声は明らかに険がこもっている。
けれど夜遅かったし、実際それほどお腹が空いているわけではない。
私:「家に食べるものあるし、お茶漬けでも食べるって」
ハ:「いいじゃん。何か食べろよ。どこ行く?」
私:「本当にいいってば」
ハニーの不機嫌を受けて、食欲は全く無くなっていた。
でもこのままではハニーの機嫌はますます悪くなるのは解っている。
けれどなんでそんなに固執するのかが解らない。
さっきまで機嫌良かったのに。
私はハニーの横顔をうかがった。
私:「ねぇ、機嫌悪いの?」
ハ:「別に」
そっけない声。
嘘つくなら貫いてよ。不機嫌オーラ丸出しじゃん。
何も言えず、車内は不穏な沈黙に包まれた。
ハ:「じゃあ、何か買って帰ろう」
無愛想な声に、私は小さく頷いた。
私:「カゴ持つよ」
ハ:「いいよ」
私:「いつも持たないじゃん」
言ってから『しまった』と思った。
しかし出た言葉は取り消せない。
ずっと不機嫌を隠そうともしないハニーに苛立ってもいたので、フォローをする気にもならなかった。
結局、家に帰っても不機嫌は続いた。
ハニーは壁に寄りかかると足を投げ出して座った。
ハ:「何か食えよ」
私:「うん」
とりあえず棚を開けて選んでいるふりをする。
しかし食欲は無い。吐き気すらするほどだった。
それでも何か食べなければハニーの機嫌は直らない。
どれくらいそうしていただろう。
不意にハニーが声をかけた。
ハ:「無理して食べなくてもいいよ」
私:「うん」
私は開いた扉の影に座り込んだ。
体がだるくて動けない。
こんな状態でハニーの前にいられない。
ハ:「ネロ?」
私:「ぅ・・・・・・ん・・・・・・」
声を出したら泣きそうだった。
ハ:「いたら迷惑? 実家に帰った方がいい?」
苛立った声。
私はハッと顔を上げた。
引き止めたい。
でも声が出ない。
これ見よがしなため息と共に物音がする。
衣擦れがして、
金属がぶつかる音がして、
足音が通り過ぎて、
鍵を外す音がした。
私:「行く! ラーメン食べたい!」
この日ハニーは家族と一日お出かけしていて私は一人でお留守番だった。
帰り道にかけてくれた誘いに私は速攻でのった。
駐車場に横付けしたハニーの車に乗り込む。
ハ:「どこのラーメン屋?」
私:「○○!」
ハ:「○○って、片道2時間だぞ!?」
私:「だめ? 疲れた?」
ハ:「疲れたけど、いいよ」
しかしやはり疲れはたまっているようで、給油して10分も走らないうちに
ハ:「やっぱり○○は今度でいい?」
私:「いいよ。じゃあ帰ろうか」
ドライブしたい気分だったけど仕方ない。
明日は仕事だし、はじめから駄目元で話したのであまりがっかりはしなかった。
ハ:「ごめんね。じゃあどこ行く? ××は?」
Uターンしたハニーが言ったのは地元のラーメン屋。
私:「いいよ。帰ろう」
ハ:「なんで? お腹空いてるんだろ?」
私:「大丈夫だよ」
私は笑顔で否定した。
ハ:「ラーメン食べるって行ってたじゃん。何か食えよ」
なんだか雲行きが怪しくなってきた。
ハニーの声は明らかに険がこもっている。
けれど夜遅かったし、実際それほどお腹が空いているわけではない。
私:「家に食べるものあるし、お茶漬けでも食べるって」
ハ:「いいじゃん。何か食べろよ。どこ行く?」
私:「本当にいいってば」
ハニーの不機嫌を受けて、食欲は全く無くなっていた。
でもこのままではハニーの機嫌はますます悪くなるのは解っている。
けれどなんでそんなに固執するのかが解らない。
さっきまで機嫌良かったのに。
私はハニーの横顔をうかがった。
私:「ねぇ、機嫌悪いの?」
ハ:「別に」
そっけない声。
嘘つくなら貫いてよ。不機嫌オーラ丸出しじゃん。
何も言えず、車内は不穏な沈黙に包まれた。
ハ:「じゃあ、何か買って帰ろう」
無愛想な声に、私は小さく頷いた。
私:「カゴ持つよ」
ハ:「いいよ」
私:「いつも持たないじゃん」
言ってから『しまった』と思った。
しかし出た言葉は取り消せない。
ずっと不機嫌を隠そうともしないハニーに苛立ってもいたので、フォローをする気にもならなかった。
結局、家に帰っても不機嫌は続いた。
ハニーは壁に寄りかかると足を投げ出して座った。
ハ:「何か食えよ」
私:「うん」
とりあえず棚を開けて選んでいるふりをする。
しかし食欲は無い。吐き気すらするほどだった。
それでも何か食べなければハニーの機嫌は直らない。
どれくらいそうしていただろう。
不意にハニーが声をかけた。
ハ:「無理して食べなくてもいいよ」
私:「うん」
私は開いた扉の影に座り込んだ。
体がだるくて動けない。
こんな状態でハニーの前にいられない。
ハ:「ネロ?」
私:「ぅ・・・・・・ん・・・・・・」
声を出したら泣きそうだった。
ハ:「いたら迷惑? 実家に帰った方がいい?」
苛立った声。
私はハッと顔を上げた。
引き止めたい。
でも声が出ない。
これ見よがしなため息と共に物音がする。
衣擦れがして、
金属がぶつかる音がして、
足音が通り過ぎて、
鍵を外す音がした。
| HOME |