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ジョグナ・アガルタ

婚約者(♂)と別れ、元カノ(♀)と復縁しました。
不穏な夜 (その2)
私:「待って!」

私は慌てて物陰から飛び出した。
今にも出て行こうとしているハニーのパーカーの裾を掴む。

ハ:「なに」

私:「行かないで」

涙でかすれる声を必死に絞り出す。

ハ:「だって、一緒にいないならここにいなくても変わらないだろ」

私:「だってハニーずっと不機嫌じゃない」

とめどなく涙が零れ落ちる。

ハ:「ネロが何も食べないからだろう!」

私:「だってお腹空いてないもの」

ハ:「ラーメン食べたいって言ってた」

私:「違う。あのラーメンが食べたかったから」

ハ:「何も食べないなら、連れて行かなかったこっちが悪いみたいじゃないか」

私:「違うよ。悪くない」

ハ:「だってそう思うだろ? こっちが連れて行かなかったから食べないって」

私:「・・・・・・」

ハ:「カゴ持たないって嫌味言うしさ。こっちが持つって言っても持たせないんじゃん」

反論したかった。
手ぶらのハニーがカゴを持つと言ってくれるのは時々で、
いつも鞄や財布を片手に私がカゴを持っている。
たまにカートを押してくれても邪魔そうだし、途中で渡されるし。
だからはじめから私が持つようにしているだけだ。
けれど、今はそんな事言えない。

私:「・・・・・・ごめんなさい」

ハ:「・・・・・・別に謝らなくてもいいけどさ」

苦笑混じりのため息が聞こえる。

ハ:「で、出ていって欲しいの?」

私:「欲しくない」

ハ:「返事が無いから出て行って欲しいんだと思った」

ハニーは靴を脱ぐと部屋の中へ戻っていった。
私はその後ろを足を引き摺りながらついていくと、ベッドの端に浅く腰掛けた。
再び部屋着に着替えたハニーが足元に横になる。

私:「ベッドで寝ないの?」

ハ:「・・・・・・シャワーかかろうかと思って」

私:「そう」

ハ:「どうしようかな」

私:「シャワーかかるならその間に玉ねぎ切る」

ハ:「じゃあ浴びてくる」

シャワーから出てきたハニーの横で私は刻んだ玉ねぎを炒めていた。
お湯と一緒に不機嫌を洗い流してきたのか、ハニーは穏やかだった。

ハ:「いつまでかかる?」

私:「もう飴色になってるから、いつでも終われるよ」

ハ:「じゃあもう寝よう」

促されるまま火を消し、
いつものようにハニーの腕の中に横たわった。


どうしてこんなしょうもない事で泣かなくちゃいけないんだろう。
解っている。
ホルモンバランスの崩れでいつも以上に不安定になっていることは。

そういえば、

ハニーも生理がはじまったばかりでしたね・・・・・・
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