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ジョグナ・アガルタ

婚約者(♂)と別れ、元カノ(♀)と復縁しました。
ハニーは心配性
私:「いってらっしゃい」

ハ:「いってきます」

キスを交わし、玄関から見送る。
普段ならそのまま行ってしまうのに、不意にハニーが立ち止まった。

ハ:「今日はここまででいいから。見送らなくていいから」

私:「なんで?」

ハ:「出てこなくていいから」

私を玄関のかまちに押し返すと、ハニーは出て行った。
そんな事気にせず、いつものように廊下に出て駐車場を見下ろす。
間もなくハニーが降りてきて、確認するように振り返った。
ハニーが何とも言えない表情で手を振る。
いつものように手を振り返す私。
いつものようにハニーは車に乗り込み、
いつものように道路に出てから窓を開けて、
いつものように手を振りながら走り去る、はず、が・・・・・・

なんで向かいのマンションの前に停まるのですか?

車の離合を待っているのだろうか。
それとも忘れ物?

やがてハニーはもう一度手を振って車を発進させた。
建物の影に車が消えても私はしばらく廊下に立っていた。
忘れ物を取りに戻ってくるかもしれないから。
戻る様子が無いので、ようやく部屋に戻る。
ベッドに腰を下ろすと同時に携帯が鳴った。

この着信音はハニーだ。

通勤中に電話かけてくるなんて珍しい。
何かあったのだろうか。
慌てて電話に出る。

私:「はい」

ハ:『もしもし? 部屋の中に入った?』

私:「うん。入ったよ」

ハ:『ちゃんと鍵かけた?」

私:「ん? ・・・・・・開いてた」

ガチャリと錠を下ろす。
電話の向こうでハニーの派手なため息が聞こえた。

私:「ちゃんとドアチェーンはかけてたから大丈夫!」

ハ:『あのね、もう外まで見送らなくていいから』

私:「なんで?」

ハ:『・・・・・・東京で行方不明事件があったろ? 犯人は隣人だっただろ』

私:「うん」

ハ:『だから。危ないからもう外に出るな』

思わず笑ってしまった。

私:「大丈夫だよ~!」

ハ:『そんなの解らないだろうが』

私:「私だって心配だよ。ハニーが駐車場で襲われたらどうするの」

ハ:『こっちはどうせ出勤するんだからしょうがない』

いまいち理屈が解らんが。

私:「心配?」

ハ:『心配さ!!』

私:「ありがとう」

ハ:『うん。ちゃんと鍵かけて寝れよ』

私:「はい。愛してるよ」

ハ:『うん。じゃあね』

私:「うわっ、聞き流された」

一方的に電話は切れた。
時間から見てそろそろトンネルに入るのだろう。
遅刻しそうだってのにわざわざ電話かけてきてくれたのか。

もしかして、

マンションの前に停まってたのも、

私が部屋に入るのを見守ってたから?

夜の一人寝は寂しいけれど、
ほこほこした気持ちでぐっすり寝れた夜でした。
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